建設業許可、電気工事業とみなし登録の関係と注意点について詳しく解説

コラム

電気工事業の場合、「建設業許可」「電気工事業登録」「みなし登録」と3つも制度があって複雑です。この3つの関係をわかりやすく解説します。

建設業許可とは

建設業許可は、建設工事を請け負う場合に必要となる許可制度です。建設業法に基づき、500万円(建築一式工事の場合は1500万円)以上の工事を請け負う事業者は、国交省大臣、または都道府県知事から建設業許可を取得する必要があります。

許可を受けることで、公共工事への入札参加資格が得られたり、民間工事でも信用力が高まります。

建設業許可は、許可区分(特定・一般)や業種(大工工事業、電気工事業など)の違いがあり、それぞれに応じた申請が必要です。財務基盤、経営経験、資格保有者などのさまざまな要件もあります。

建設業許可は一般建設業許可と特定建設業許可があり、元請けとして発注者から直接請け負い、下請契約金額が4000万円(建築一式工事は6000万円)以上となる場合は特定建設業許可が必要です。

登録電気工事業と建設業許可の違い

電気工事業の場合は建設業許可とは別に登録電気工事業者制度が適用されます。電気工事業法に基づく制度であり、一般用電気工作物や自家用電気工作物の電気工事を行う場合に必要な登録です。

登録電気工事業は、建設業許可とは違って、電気工事業法に基づき、500万円未満の軽微な工事でも必要となる登録です。

建設業許可登録電気工事業
法律建設業法電気工事業法
業種建築・土木など29業種電気工事業のみ
許可・登録500万円以上の工事電気工事の場合(500万円以下も)
許可先国土交通省、都道府県経済産業大臣、都道府県知事
更新期限5年5年

電気工事業のみなし登録

「みなし登録」とは、建設業許可のうちで「電気工事業」の許可を受けた業者が、登録電気工事業の登録が省略される制度のことです。

建設業の許可を受けている電気工事業者が、電気工事士法の登録電気工事業者の登録を受けたとみなされる制度です。

建設業許可の電気工事業を取得していれば、登録電気工事業者の登録をしなくても電気工事業をすることができます

ただし、みなし登録が適用されるのは、建設業許可を取得している法人や個人事業主が電気工事を直接施工する場合だけです。下請として工事を発注するだけでは、みなし登録の適用は受けられません。

建設業許可の業種に電気工事業が含まれている場合、別途、登録電気工事業の登録手続きを行う必要はありません。建設業許可を受けていることで、電気工事士法上の登録電気工事業者の要件を満たしているとみなされます。

建設業許可、登録電気工事業、みなし登録の注意点

みなし登録が適用される範囲

みなし登録は電気工事業の建設業許可を取得している場合に限られますので、他の業種、例えば管工事業、通信工事業の許可では電気工事では、別途、電気工事業の登録が必要です。

みなし登録によって登録電気工事業者の扱いとなりますが、あくまで電気工事士法の範囲の工事となります。大規模な工事や公共工事など、建設業許可が必要となる工事を請け負う場合は、電気工事業の建設業許可を取得していなければなりません。

建設業許可を失効するとみなし登録も失効

みなし登録は、建設業許可を受けていることが前提となります。建設業許可が失効した場合は、みなし登録も同時に失効します。引き続き電気工事業を営む場合は、登録電気工事業の手続きをする必要があります。

電気工事の内容によっては主任技術者の設置義務がある

電気工事の場合、一定の規模以上の工事では電気工事士や電気主任技術者の設置が求められるため、人員の配置が必要になります。

登録電気工事業者は、営業所ごとに主任電気工事士を配置しなければなりません。みなし登録の場合も同じです。電気工事の一定の資格や実務経験を持つ者を主任電気工事士として配置する必要があります。

建設業許可と登録電気工事業の更新期限

どちらの許可と登録も5年ごとの更新ですが、手続き先が違うので注意が必要です。

みなし登録を活用することで手続きの負担を軽減

建設業許可を取得していれば、登録電気工事業の手続きを省略できるので負担が減りますが、みなし登録の要件を満たしているか、確認しておく必要があります。

関係法令の遵守

電気工事業を営む場合は、建設業法、電気工事士法などの関係法令を遵守する必要があります。法令違反は、許可の取消しや罰則の対象となる場合がありますので最新の法令や通達を把握して適切な業務運営が必要になります。