シャッターの取り付けや交換などの工事は、店舗や倉庫、住宅などでよく行われる工事ですが、このシャッター工事に建設業許可は必要ですか?という質問がありました。シャッター工事の業種区分や建設業法上の根拠をもとに、建設業許可が必要か不要かなどを詳しく解説します。
シャッターの設置工事は何工事?
シャッターの設置や取り替えなどの工事は、建具工事業に該当します。
建設業法では、建設工事を29種類の業種に分類しており、建具工事業は、工作物に木製または金属製の建具等を取り付ける工事と定義されています。
建具工事業の定義は「金属製、木製その他の建具を取付け、または取外す工事」と建設業法で定義されています。
金属製建具には、アルミサッシ、スチールドア、ステンレス製の建具、そしてスチールシャッターやアルミシャッターも含まれています。
シャッターの新設、取替や修繕などを行う場合は、建具工事業の許可を取得して行うのが原則となっています。
また、シャッターを電動式にする場合、電動モーターや制御盤の設置も伴うため、電気工事士法上の電気工事に該当する作業を行う場合には、電気工事士資格を有する者による施工が必要となる場合があります(電気工事士法第3条)。
電気工事の場合は、電気工事業法に基づいて電気工事を業として行う事業者が営業所を管轄する都道府県知事の登録を受ける手続きとなります。たとえ、建設業の許可を持つ事業者であっても電気工事業を営む場合は届出が必要になりますので注意が必要です。

建具工事業とは
建具工事業は、建設業法上の建設業の29業種のうちの専門工事業の一つになります。
建設業法の定義は金属製、木製その他の建具を取付け、または取外す工事となっています。
- 建具工事業の具体例は次のとおりです。
- アルミサッシ・スチールドアの取付工事
- シャッター(電動・手動)の設置・取替工事
- 自動ドア・ガラス扉の取付工事
- パーティションの取付け
シャッター工事で請け負う工事の多くは、建具工事業に含まれますが、鉄骨下地の大規模な取付や外壁を伴う施工の場合は、「鋼構造物工事業」などに該当することもあるため、工事内容によって適用業種を判断することになります。行政書士にご相談ください。

建設業許可とは
建設業許可とは、建設業法に基づいて、一定規模以上の建設工事を請け負う者に対して必要となる国または都道府県の許認可制度です。
建設業法の引用です。
建設業法第3条
(1) 建設業の許可
ア 建設業を営もうとする者は、軽微な建設工事のみを請け負う場合を除き、建設業法第3条の規定に基づき、建設業の許可を受けなければなりません。
イ 「軽微な建設工事」とは、工事1件の請負代金の額が建築一式工事以外の建設工事の場合にあっては、500万円未満、建築一式工事にあっては1,500万円未満又は延べ面積が150平方メートル未満の木造住宅の工事をいいます。
なお、建設業許可は、一定の要件(経営業務の管理責任者の設置、営業所技術者の配置、財産的基礎など)を満たした業者に対して与えられます。
建設業許可が不要な場合
- 請け負う工事の1件の請負代金の額(消費税を含む)が次の金額未満の場合は建設業許可は不要です。
- 建築一式工事以外の場合で500万円未満の場合
- 建築一式工事の場合は1,500万円未満または延べ面積150平方メートル未満の木造住宅の場合
シャッター工事の請負金額が500万円未満(税込)であれば、建設業許可がなくても施工できます。いわゆる「軽微な建設工事」のみを請け負う場合は、不要となります。
ただし、500万円を超える場合は、建具工事業(もしくは適正な関連業種)の建設業許可を取得しておく必要があります。
また、上記のとおり、電動シャッターの取付けで電気配線を伴う場合には、建設業許可の有無にかかわらず、電気工事業の登録や電気工事士資格が必要になることがあります。これは建設業法ではなく、電気工事士法で規定されています。
上記は、一般的なシャッター設置工事の解説となりますので、工事の規模や内容、請負条件などによっては、異なる業種に該当する場合や、他の法令の適用を受ける場合があります。具体的なケースについては、行政書士にご相談ください。



