「パネル工事」とは、建物の外壁や屋根などにパネル状の材料を取り付ける工事を指します。
パネル工事で代表的なものに、太陽光発電設備の設置工事(太陽光パネル)や、外壁のサイディング(ガルバリウム鋼板など)施工や看板工事がありますが、それらはどの業種に該当し、建設業許可が必要なのかというご相談を多くいただきますので記事で詳しく解説します。
太陽光パネル工事は住宅や工場の屋根に太陽電池モジュールを設置して配線やパワーコンディショナー等を接続して発電設備を構築する工事です。電気工事や屋根工事の要素を含んでいます。
ガルバリウム鋼板などのサイディング工事は建物の外壁に金属板や窯業系のサイディングボードを貼り付ける工事です。建物の防水性・断熱性・意匠性を高める役割を持ちます。
看板は、ビルの屋上や駐車場、道沿いなどに看板を設置する工事です。
一般的に、これらはいずれも専門性が高く、建築物の安全性に関わるので、建設業法上の「建設工事」に該当します。

建設業法でパネル工事の業種は?
建設業法では、工事の種類ごとに「29業種」に分類されています。パネル工事は内容によって次の業種に該当します。
太陽光パネル設置工事
発電設備(パネル・パワーコンディショナー(パワコン)など)の電気配線・接続工事を行う場合は、電気工事業となり、屋根への架台設置や防水処理を伴う場合は屋根工事業、新築時などで建物本体と一体的に設置する場合は建築工事業となります。
太陽光パネルの設置のみを請け負う場合であっても、電気工事業や屋根工事業の許可を要するケースがあります。
また、地盤に架台を設置する基礎工事(地上設置型の場合)や、アンカー打ちなどの付随的な工事であれば、とび・土工・コンクリート工事となります。
サイディング(外壁パネル)工事の場合
外壁の金属パネルや窯業系サイディングを貼り付ける工事は、金属製(ガルバリウム鋼板など)のサイディングや外壁パネルの取付けであれば板金工事業、モルタルやセメント下地を使った場合は、左官工事業となります。
また、仕上げの構造によっては防水工事業・内装仕上工事業に該当することもあります。実際の判断は、施工内容・材料・構造によって決まります。同じ「パネル工事」であっても、材料や工法が違えば業種の区分も変わります。
看板設置工事の場合
看板の製作から工事まで一括で請け負っている場合は、鋼構造物工事業となります。鋼構造物工事業とは、鉄骨などの鋼材を加工・組み立てて、橋梁、鉄塔、貯蔵タンク、大型の建物(工場や倉庫など)といった鋼構造物を建設する建設業です。
看板の製作を行わずに、完成した看板を現地で設置する場合は、とび・土工・コンクリート工事となります。とび・土工・コンクリート工事は、足場の組み立て、鉄骨の組み立て、土砂の掘削・盛り上げ、コンクリートの打設など、建設工事の基礎を支えるための工事です。

建設業許可とは?
建設業許可とは、建設業法に基づいて一定規模以上の建設工事を請け負うために必要な行政上の許認可制度です。
工事の種類ごとに国土交通大臣または都道府県知事が許可を行います。広島県にだけ営業所があるのであれば、広島県庁で広島県の建設業許可を取得します。
広島県建設産業課
〒730-8511 広島市中区基町10番52号
電話:082-513-3822
建設業許可が必要となるのは、1件の請負金額が500万円以上(消費税込)の工事(建築一式工事は1,500万円以上または延べ面積150平方メートル超の木造住宅)の場合です。
たとえ小規模なパネル取付けでも、請負金額が一定額を超える場合には、建設業許可が必要となります。
パネル工事の建設業許可(要件など)
パネル工事を行う場合、対象となる業種ごとの建設業許可を取得する必要があります。許可を受けるためには、主に次の要件を満たさなければなりません。
共通する主な許可要件
・経営業務の管理責任者(経管)
個人・法人を問わず、5年以上など建設業の経営経験があること
・営業所技術者
該当する業種に応じた資格または10年以上などの実務経験が必要です。
たとえば、電気工事業であれば、第二種電気工事士以上、板金工事業であれば一級・二級建築施工管理技士(仕上げ)などです。
・財産的基礎
自己資本500万円以上、または500万円の資金調達能力を証明することです。
・誠実性・欠格要件なし
法令違反や破産などの欠格事由がないことです。
実務的な許可の取得
太陽光パネル設置のみ請け負う場合であれば、電気工事業の許可を取得するのが基本です。屋根・架台取付も含む場合であれば、屋根工事業や建築工事業が必要になると考えたほうが無難です。
サイディング業者の場合であれば板金工事業(ガルバリウムなど)や左官・内装仕上工事業の許可が必要になると思っておいたほうがよいでしょう。
看板設置工事では、設置ということであれば、とび・土工・コンクリート工事が必要になると考えられます。
また、500万円未満の小規模工事であっても、営業上の信頼を確保するために、建設業許可を取得する事業者も増えています。



