個人事業主で経験が5年未満の場合、建設業許可は取れるの?

コラム

建設業許可を取得したいけど経験年数が足りないのではないかと思っている個人事業主の方は多いと思います。

経験が5年未満でも建設業許可を取ることはできます。詳しく解説します。

建設業許可とは

建設業を営むには、一定の条件を満たして国交省や都道府県から建設業許可を取得する必要があります。建設業法に基づいて、軽微な工事を除く500万円以上(建築一式工事は1,500万円以上)の工事を請け負う場合は建設業許可が必要です。

  • 建設業許可を取得するには、以下の要件を満たす必要があります。
    • 経営業務の管理責任者の設置(5年以上の経営経験が必要)
    • 専任技術者の配置(資格や実務経験が必要)
    • 財産的基盤の確保(500万円以上の資金証明が必要)
    • 誠実性の確保(過去に法令違反がないこと)
    • 欠格事由に該当しないこと(犯罪歴や反社会的勢力との関係がないこと)

なお、公共工事の入札に参加するためには、建設業許可が必要です。

経営業務の管理責任者の5年の経験

建設業許可を取得するには要件の一つに、経営業務の管理責任者(経管)の設置があります。経管とは、建設業の経営業務を適正に遂行できる能力を持つ者のことです。

その経営業務の管理責任者(経管)としての経験が必要です。具体的には、次のいずれかの経験が必要になります。

5年以上経営業務の管理責任者としての経験を有する者であること

5年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者(経営業務を執行する権限の委任を受けた者)として経営業務を管理した経験を有する者であること

・6年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者として経営業務の管理責任者を補佐する業務に従事した経験を有する者であること

・2年以上役員等としての経験があり、かつ5年以上役員等、または役員等に次ぐ職制上の地位にある者(財務管理、労務管理または業務運営の業務を担当する者)としての経験を有する者

5年については、建設業法に基づいた経営経験が必要であり、証明書類(確定申告書、契約書、請求書など)の提出が必要になります。

経験が5年未満の場合の対策

5年の経営経験がない場合であっても、次の方法で建設業許可の取得が可能になる場合があります。

なお、以下で概要を説明しますが、個々のケースで判断が必要になる場合がありますので具体的には行政書士に相談することをおすすめします。

経験を補う方法

他の経営経験と合算する

例えば、個人事業主として3年、法人の役員として2年の経験があれば、合算して5年とみなされる場合があります。

経営業務の管理責任者を雇用する

自分に5年の経験がなくても、条件を満たす人を役員や従業員として迎えることで許可を取得できます。

許可業者の役員に就任する

すでに建設業許可を持っている法人の役員となり、5年の経営経験を積む方法もあります。

許可が不要な範囲で営業を続ける

軽微な工事のみを請け負う

500万円未満(建築一式工事は1500万円未満の工事であれば、建設業許可なしで営業を行うことができます。

下請けとして業務を行う

元請業者の下請けとして活動して、実績を積むことで、5年後の許可取得を目指すことも考えられます。

経営経験の5年以外での注意点

証明書類の準備

経営経験が5年に満たない場合、経歴を補うための証拠書類(給与明細、業務委託契約書など)を準備する必要があります。

専任技術者の要件も満たす必要がある

経管要件をクリアしても、専任技術者としての資格や実務経験がなければ許可は取得できません。

資金要件の確保

許可取得には500万円以上の財産証明が必要です。

まとめ

経験が5年未満の場合であっても、経営業務の管理責任者を雇用したり、経営経験を補完する方法を取ることで、建設業許可の取得はできます。

最初は、許可不要の範囲で実績をつくって、5年の経営経験を満たしてから申請するのも有効な手段です。