工事原価管理クラウドのご紹介、選定のためのシステムソフト11選

コラム

数ある工事原価管理システム、特徴あるソフトウエアの中から11本をご紹介します。選定のための参考にして下さい。

建設業におけるクラウド型ソフトウェア導入のメリット・デメリット、そして主要なソフトウェアの特徴をわかりやすく解説します。

建設業の原価管理とは、資材や仕入れの材料費、協力業者へ支払う外注費などを費用を管理することです。原価情報を見える化することによって、経費削減や利益などを管理します。

建設業は一般的な会計制度とは違うことも多く、工事が長期になることもあって売上の計上のタイミングや勘定項目がむずかしいなど、原価管理業務は複雑になっています。

複雑な原価管理をできるだけ、わかりやすくしてくれるのが建設業向け工事原価管理システム(ソフトウエア)です。

工事原価管理とは

工事原価管理とは、建設プロジェクトにおける原価(材料費、労務費、外注費、経費など)を適切に把握して管理する一連の業務のことです。

原価の把握・集計では、各工事で発生した原価を正確に記録して集計します。

原価の分析としては、集計した原価を分析して、予算との差異や原価の変動の要因を分析し明らかにします。

原価のコントロールでは、分析結果に基づいて対策を講じて、原価を予算内に抑えるように管理します。

工事原価管理は、企業の収益性確保に直結する重要な業務であり、適切な管理を行うことで、赤字工事の発生を防いで、利益を最大化することができますし、正確な原価情報は経営判断の重要な情報となります。

工事原価管理システム(ソフトウエア)とは

建設業向け原価管理ソフトは、建設業や工事業関係の原価や粗利を管理するソフトです。

工事現場ごとの取引内容や原価を集計するためにエクセル(Excel)などで工事台帳の作成や管理を行なうといった方法にはデメリットがありました。

たとえば、工事台帳の作成に時間がかかることが多く、工事ごとの粗利や原価が把握しづらい点であったり、手で入力するハンド入力で負担が大きく、間違いも発生しやすく、共有できなくて作業グループでの管理がしづらいことがありました。

建設業用の原価管理ソフトを導入することによって、これらの課題を解決して、効率よく原価や粗利を管理できるようになります。

ほとんどのソフトで対応する業種は次のとおりです。

一部では総合建設業をはじめ、以下のような業種での導入事例を持つソフトもあります。
建築業/リフォーム/リノベーション/土木工事業/舗装工事業/造園工事業/仮設工事業/設備工事業/管工事業/空調設備工事業/電気工事業/塗装工事業/左官工事業/防音工事業/防水工事業/鉄筋工事業/建具工事業 など

工事原価管理でソフトを利用するメリットとデメリット

従来のエクセルなどの原価管理に比べてソフトを利用することで多くのメリットがありますが、デメリットもありますので導入前に十分に検討する必要があります。

メリット

原価管理システムの導入のメリットとしては、複雑な計算を簡単で正確にできるようにすることや帳票の表示や出力をクリックだけでできること、外部ツールとの連携で一元管理ができることなどがあります。

業務効率向上:データ入力や集計作業の自動化によって、業務効率化が図れます。
正確性の向上:手作業のミスを減らして、正確な原価情報が得られます。
リアルタイムの情報:最新の原価情報を得ることができるので迅速な経営などの意思決定ができます。
情報共有:作業グループなどの関係者のあいだで情報を場所や時間などが関係なく共有できます。
分析機能:ソフトウェアに搭載された分析機能を利用することによって詳細な原価分析ができます。

デメリット

導入コスト:ソフトウェアの導入費用や運用費用が発生します。
操作習得が必要:従業員や作業グループの全員がソフトウェアの操作を習得する必要があります。
カスタマイズの制限:オンプレミス型などの場合、パッケージソフトウェアの場合、自社の業務に完全に合わない場合があります。使い勝手の改善がむずかしい場合があります。

クラウド型のメリット

ソフトウエアは、クラウド型に対して、オンプレミス型もあります。オンプレミス型とは、サーバーやシステムを自社で保有・運用するシステムの利用形態です。自社で構築や管理するために「自社運用型」とも呼ばれています。

クラウド型のメリットとしては、初期投資の抑制できます。オンプレミス型に比べて導入コストを抑えられます。場所を選ばないアクセスが可能です。インターネット環境があればどこからでもアクセスできます。自動アップデートができます。常に最新のバージョンを利用できます。

クラウド型のデメリット

インターネット環境が必要になります。インターネット環境がないと利用できません。一般の公衆インターネットを使う訳ですから、セキュリティへの懸念もあります。クラウドサービス提供者のセキュリティ対策に依存することになります。

建設業向け工事原価管理システムの選び方

建設業向け工事原価管理システムの選定のポイントは提携形態、導入目的、操作性にあります。

提携の形態

クラウド型とオンプレミス型の提携形態があります。

クラウド型のメリットとしては、導入コストが比較的安いことと、すぐに利用できることにありますが、デメリットとしては、自分の会社に合ったようにカスタマイズがしにくい点があります。

オンプレミス型のメリットとしては、カスタマイズができること、自分の会社専用のシステムにできることとセキュリティが守れることなどがあげられます。

デメリットとしては、導入コストがかかること、運用開始まで時間がかかることがあります。

建設業向け原価管理ソフトでできること(機能)

ソフトによって異なりますが、たとえば、次のような機能があります。

営業関係であれば、見積作成、受注登録、見積読込などで、工事担当者向けとしては、工事台帳の作成、予算管理、発注管理、日報入力、仕入伝票入力、原価集計、勤怠連動などがあります。

また、経理関係であれば、支払伝票入力、支払管理、売上・入金伝票入力、会計ソフトや給与計算ソフトとの連動、売掛金管理などがあり、そのほかとしては、原価の自動集計、データ分析、マスタ設定、セキュリティ、カスタマイズなどがあります。

主要なクラウド型の工事原価管理ソフトウェアの紹介

いろいろな工事原価管理ソフトウェアがありますが、主要なものをご紹介します。

なお、ソフトの値段、ライセンス料、使用料については、各社複雑な体系をとっておりますので、具体的な仕様がわからないと金額が提示できませんので、値段については、各社のURLを掲載しておりますので、各社にお問い合わせください。

どっと原価シリーズ

株式会社建設ドットウェブ https://www.kendweb.net/

クラウドモデルとオンプレミスモデルがあります。

オプションは選択式で、企業ごとに最適な構成にできます。外部ソフトと連携できて、関連業務も効率化できるようになっています。

財務会計・給与計算システムのほか、いろいろな業務ソフトとの連携ができます。

また、エクセルやCSVデータの受け入れ、その出力やスケジュール化などによって業務をつないで共有を可能にして生産性向上をサポートします。

API連携により、情報のリアルタイムな反映も実現できます。従来のフォーマットをそのままにして帳票カスタマイズ機能もあります。

利用している帳票のレイアウトをエクセルのシートで作成・編集できて、そのまま「どっと原価シリーズ」の印刷書式として利用できます。

あらかじめ複数の書式を準備することで、例えば、提出先ごとに違う請求書書式で出力することができます。また、セル関数やフィルターなど、Excelの機能も利用できます。

KAKUSA 経営格差工事クラウド

アクティブシステム株式会社 https://activesystem.co.jp/koujicloud-lp/

中小企業や小規模事業原価管理システム向けに開発されており、必要な機能のみになっているシンプルな設計で、パソコンに慣れていない人でも直感的に使えるのが特徴です。

初期設定・訪問指導付で、導入後からすぐに利用できアフターフォローも充実しています。

クラウド型のシステムになっています。シンプル、簡単、だれでも使えるように開発された中小の建設工事業者様向けクラウド型システムです。工事原価・日報・経理業務を効率化して業務時間の短縮と利益確保ができます。

工事原価は自動集計してくれて、複数種類の工事原価も自動集計、期間、条件によって絞り込みもできます。

スマホで日報登録もできます。従業員の勤怠表、現場ごとの出面が自動集計されて、工事原価の労務費も自動集計します。

そのほか、下請け契約書発行、外注先への支払残管理や支払予定管理、請求残のチェック、入金の消し込みにも対応しています。

SMILE V 2nd Edition コストマネージャー

株式会社大塚商会 https://www.otsuka-shokai.co.jp/erpnavi/product/smilev-cost-manager/

原価管理だけでなく、発注・予算・支払・請求までをトータルにサポートするシステムです。予算の進捗をリアルタイムに確認できるので、現場の状況を把握して効率的な対応ができます。

豊富な原価分析資料があり、プロジェクトごとの原価を、原価種別・得意先・外注などで分析できます。

発注業務から原価入力までを効率化できます。発注残も管理できるので、発生原価に発注残を含めた見込原価との予実績管理を実現します。

請求や支払業務もサポートしています。入金管理や決定通知書兼支払明細書、振込依頼データの作成ができます。

詳細な分析を可能にする実行予算入力もあり、現場別の実行予算の登録では、4要素単位以外にも、要素細目別や作業工程分類別などでも行えます。仕入先別に管理することもできて外注作業や材料仕入等を仕入先別に予実績分析を行うことができます。

発生した原価を入力し、多角的な分析もできます。日々に発生する原価データを入力することで、各プロジェクトで発生した原価について、要素細目別や作業工程別など、さまざまな角度から分析できます。

発注処理と原価入力の連携で確認作業を効率化も可能です。発注処理で入力した注文書は、原価入力時、引き当てができます。

また、発生原価に発注残を含めた見込み原価が分かり、直近の予算実績管理が可能です。

請求・入金業務、支払業務の効率化を支援します。請求入力の内容に基づいて請求書を発行、入金予定表も出力可能です。原価(債務)データを基に、決定通知書兼支払明細書や振込依頼データの作成が行えます。

電子帳簿保存法の検索要件を満たして管理できます。請求書などの書類をPDFで出力する際に、電子帳簿保存法の検索要件でもある取引先名・取引日付・取引金額に関する項目をファイル名に出力できます。

デジタルインボイスや請求書のメール送信に対応しています。

工事別収支実績表で各現場の利益状況を予想利益と対比できます。また、気になる工事は要素区分や工程区分で確認し対策できます。

原価実績、売上実績に対し、得意先別や担当者別などさまざまな要素を指定し、ドリルダウンして分析が行えます。分析結果はグラフ化して視覚的に確認することができます。

サクミル

株式会社プレックス https://sakumiru.jp

建設業の管理・事務・現場作業を楽にしてくれるクラウドシステムです

顧客管理は、顧客や作業現場ごとに、重要な情報や過去の案件情報が蓄積されます。

案件進捗管理は、案件の詳細情報やステータスを管理できます。見積や請求の漏れを防ぐことができます。

ファイル管理は、案件ごとに、現場写真・図面・各種ファイルを保存できて、いつでもどこでも、すぐに確認できます。

スケジュールは、個人の予定や現場の予定を見やすく表示し、スケジュールの確認や調整がしやすくなります。

作業日報は、スマホで作業日報を入力できます。人工の入力で事務所に戻る必要はありません。

写真台帳作成もできます。エクセルで写真を選択することなく、最小限の手間で写真台帳を作成できます。

見積・請求管理では見積書や請求書を作成できます。見積書から請求書への自動変換含め、帳票作成や管理の手間を減らせます。

原価・粗利管理としては、スケジュール・作業日報と連動して、資材費・労務費・協業費などの原価や粗利を管理できます。

経営レポートでは、売上・粗利、案件や人ごとの稼働時間など、経営に必要な情報がダッシュボードとして自動で表示されます。

コンクルーCloud

株式会社コンクルー https://www.lp.concrew.jp/cloud

小規模建設会社のためのオールインワン業務管理クラウドです。

マニュアル不要な直感的でシンプルなデザインになっています。自社の業務フローに合わせたカスタムもできます。受発注双方の帳票を自動生成できます。

見積書/請求書作成・実行予算・原価管理を一つに集約しています。業者からの請求書金額の転記や帳票格納といったやりたくない事務作業をゼロにできます。

電子発注で見積依頼から、発注、請求、支払いまで、全ての業務をオンラインで完結します。

協力業者にとっても嬉しい帳票自動生成機能によって受発注双方の業務負担を大幅に低減します。

施工管理は、現場情報や図面・写真などのファイル、工程表も保存・更新するだけで関係協力業者へ「一括共有」できます。

BUILDY NOTE

株式会社フィックス https://buildynote.com/company/

少人数で多くの業務を行えるように設計されています。分譲住宅メーカーや1次請け専門業者向けの工程管理を中心としたソフトです。

予定変更での手配・発注・確認漏れを防いで手戻りをなくできます。同時に動く多くの現場の人と予定が一元管理できていないことで、作業に漏れが発生して仕事全体がストップしたりフォローのための余計な作業を生みます。これを解決するのがビルディーノートの工程管理システムです。

原価管理機能では、現場の発注金額・請求金額の小さな変化に気づくことができます。

工程作成機能としては、100を超えるような複雑なネットワーク工程の作成ができますので、リフォームなど小規模な工程を作るための簡単工程作成もできます。工程マスター管理が可能でフォルダー分けにより簡単選択もできます。

検査機能としては、現場報告や検査もサンプル通りの写真を撮影するだけです。写真つきの報告や、検査報告はスマホで現場から直接報告できます。報告マスタをあらかじめ登録しておけるので、決められた内容の検査報告なども簡単にできます。

電子受発注機能では見積書・発注書・請求書の作成を電子化することで作業時間を削減します。

勘定奉行クラウド 建設業編

株式会社オービックビジネスコンサルタント https://www.obc.co.jp/bugyo-cloud/kanjo-kensetsu

工事別の仕訳・原価計算を自動化します。工事別の細分化された仕訳や、間接費・労務費の配賦作業など、建設業特有の原価計算を自動化でき、会計システム一つで手間なく正確な原価管理が行えます。

多彩な原価帳票で工事別の原価をリアルタイムに見える化します。日々記録された仕訳伝票から工事原価に関わる情報をリアルタイムに集計でき、原価低減や不採算工事の早期発見につなげることができます。

日次業務では実務に沿ったきめ細やかな機能によって、日々の仕訳入力はもちろん、証憑の管理や仕訳チェックまで、よりスピーディーに、かつより正確に行えるようになります。

工事原価管理システム e2-movE 工事管理

三谷商事株式会社 https://si.mitani-corp.co.jp/solution/e2move/

建設業、工事業のお客様向けの工事原価管理システムです。受注した工事登録内容を元に実行予算管理、工事の採算や進捗状況の把握、外注業者様や資材業者様へのから原価計上、計上された原価を元に支払管理までをワンストップで提供します。

工事登録では受注工事の物件情報・契約情報・回収予定情報を登録します。

実行予算登録は受注工事の実行予算を登録します。工種別に予算を登録することで、予算に対する原価実績を即座に把握できます。

発注管理では材料や外注委託先への発注業務を管理し、工事原価へ連動します。

工事原価入力は協力業者からの納品書や請求書などにより、工事原価(仕入)を入力、原価実績、支払査定へ連携します。

未払見込入力は、工事を売上するに当り、未払分(来月以降に支払す予定金額)の原価を入力します。発注分は注文№ごとに入力し、契約外については、仕入先、工種・要素ごとに入力します。完成工事処理では、既発生した原価額と今回入力分の未払額の総額で完成工事原価を計上されます。

工事状況照会では工事状況照会の実績から各照会画面へドリルダウンします。総額で表示された内容をさらに詳細確認することができます。

工事原価Pro

弥生株式会社 https://www.yayoi-kk.co.jp/products/linkage/kojigenka/

建設業と工事業の原価管理に特化した、在庫管理もできる原価管理ソフトです。受注・発注・仕入・支払査定・支払通知・支払管理、そして入金管理まで連動できます。業務を一挙に効率化できます。見積と実行予算の設定は最大で7階層になっており、工事台帳はもちろん、積算データの取込みや工事一式請求、出来高請求、支払査定、支払/入金消込などに対応しています。

煩雑な見積・原価管理の業務を一挙に合理化して、請求漏れや回収漏れも防止します。発注から仕入、支払査定、支払処理など仕入関連業務も一連の流れで確認しながらすすめることができます。

入力画面は簡単・シンプル。工事台帳と原価管理だけでよければ、入力画面は(工事登録→仕入処理→日報処理)の3つだけです。実行予算表示にすれば、業者別や工種別の予算残高も一目で確認できます。

施工管理+α

株式会社 ブレイブ https://plus-alpha.com/

建築会社が開発したオールインワンの施工管理ソフトです。現場情報を共有し効率を上げ、工程・現場写真を共有し生産性とクオリティーをあげて、現場に携わるすべての人の業務をシンプルにして、建築会社での働き方を改革する簡単に使えるツールです。

案件全てを一括管理できます。現場情報から受発注管理まで、一括管理です。

現場管理から受発注、原価管理まで一括管理できます。無駄なオプション費用は一切ありません。

工程表の組み立てと、それに応じたタスクを連携して作成できます。現場周辺の天気予報を見ながら作成できます。タスクには期限を入れることができ、手配忘れの防止にもなります。工程はテンプレートとして保存もできます。

協力業者を含む全関係者の間で写真・図面の共有やチャットができます。施工現場の開始/終了ごとに、全関係者でのチャットを自動作成/自動解散できます。電話やFAXで行っていた連絡・報告・相談と共有を、一つにまとめることができます。

建築業務すべての一元管理を目指して開発されており、施工管理から原価管理まで一括管理できます。

インボイス制度に対応した受発注管理では、見積作成時に発注額(利益率)を計算出来る為、効率の良い予算組みが可能です。

またレポート機能を活用することで、確認月の請求額・請求書枚数だけでなく、月別売上額、発注額、利益率、売上前年同月比などの確認まですることができます。

レッツ原価管理Go2

株式会社レッツ https://www.lets-co.com/

シンプルなメニューになっています。わかりやすさ・使いやすさを追求したシンプルなメニュー画面です。入力画面がわかりやすく、納品書や請求書などの証憑に近いイメージで直感的にわかりやすいです。

複式簿記を使いません。会計知識がない方でも入力できるようになっています。入力したデータはそのまま財務会計ソフトへも連動します。

仕事内容が異なる部門で違和感なく使える「わかりやすさ」が特徴の原価管理システムです。

シンプルで使いやすさを追求したメニュー画面は、ITツールに不慣れな方でも利用しやすい設計になっています。