建設業の許可を取得・維持するためには、「経営業務の管理責任者」を設置することが必須要件です。この責任者は、建設業における経営業務全般を総合的に管理・執行する役割を担います。さらに法改正により要件が緩和され、一定の補佐役を配置することで対応可能なケースも生まれました。適切な勤怠管理や役職者の配置計画を通じて、責任者不在による許可取り消しのリスクを防ぐことが重要です。
経営業務の管理責任者とは?
「経営業務の管理責任者」とは、建設業において経営業務を総合的に管理し、営業所内で対外的に責任を負う重要な役職者のことです。主に次の役割を果たします:
- 建設業の営業取引を統括。
- 経営業務全般を執行し、許可要件を満たす。
- 勤怠管理や資金繰りなど、組織運営の中枢を担う。
建設業許可における要件と注意点
1. 常勤性が求められる要件
経営業務の管理責任者は、本社または本店で勤務し、以下の条件を満たす必要があります:
- 毎日所定の時間勤務すること。
- 他の企業や業務との兼任がないこと(同一企業内での兼任は可)。
- 勤怠管理記録や住民税課税証明書で勤務実態を証明できること。
2. 対象となる役員
管理責任者として認められるのは、次の役職に就く者です:
- 株式会社の取締役。
- 合同会社の業務執行社員。
- 社団法人や財団法人の理事など。
経営業務の管理責任者の経験要件
従来の要件
以下のいずれかに該当する者が責任者となれます:
- 建設業の法人役員として常勤で6年以上の経験を有する。
- 個人事業主として6年以上建設業を営む。
- 建設業者の使用人(工事部長など)として6年以上の実績がある。
法改正による要件緩和(令和2年10月以降)
以下の条件を満たす場合、責任者として認められます:
- 財務管理、労務管理、業務運営のいずれかにおいて経験を有する補佐役を配置。
- 責任者自身が役員等に次ぐ地位(例:営業所長、工事部長)で経験を有する。
勤怠管理の重要性と許可維持への対策
勤怠管理の適正化
経営業務の管理責任者は常勤性が求められるため、以下の勤怠管理が重要です:
- 勤務時間の記録を徹底し、実態を証明可能にする。
- 他の事業との兼任や遠距離通勤が発生しないよう管理。
責任者不在リスクの回避
責任者の退任や欠員が発生した場合、次の候補者を迅速に配置できる体制が必要です:
- 親族や配偶者を役員候補として登用し、経験を積ませる。
- 勤怠管理と給与支払いを適切に行い、実績を記録する。
経営業務の管理責任者が果たす役割
- 財務管理
建設工事の資金調達や資金繰りの調整を担当。 - 労務管理
勤怠管理や社会保険手続きを通じて、従業員の労務環境を整備。 - 業務運営
会社の経営方針を策定し、事業運営を統括。
まとめ:建設業における管理責任者の重要性
経営業務の管理責任者は、建設業の許可取得と維持に欠かせない存在です。特に、勤怠管理を通じて常勤性を証明し、組織内での役割を明確化することが求められます。また、法改正により要件が緩和された今、補佐役を活用するなど柔軟な対応が可能です。責任者不在による許可取り消しリスクを防ぐため、候補者の育成や適切な勤怠管理を日頃から意識しましょう。