税務署はここを見る!建設業の税務調査で多い指摘ポイント5選

コラム

建設業は、現金取引や外注が多いために帳簿が不十分になりがちな業種のひとつとされています。

建設業における税務調査で特に指摘されやすいポイントを5つ紹介します。

税務調査とは

税務調査とは、納税者から提出された申告内容が正しいかどうかを確認するために税務署または国税局が行う調査のことです。

法人税や所得税などは、納税者が自ら申告した内容にもとづいて納税する申告納税制度です。

納税者全員が正しく申告して納付していれば問題ありませんが、ミスをしたり、中には、意図的に不正をしたりする人も出てきます。

税務調査の対象には、事業を営む法人や個人事業主、ひとり親方だけでなく、確定申告が必要な人が対象になっています。

税務調査の種類

任意調査

任意調査は、税務署職員などが納税者の協力で実施する調査です。税務調査で一番多い調査になっています。一般的には電話や通知書で事前連絡があって日程調整をしたうえで帳簿などが調べられることになります。

任意となっていますが、納税者には受忍義務があります。もし正当な理由もなく拒否すると罰則を科されることがありますので注意が必要です。受忍義務(じゅにんぎむ)とは、法律で定められた、ある行為を受け入れ、またはそれに従う義務のことです。

強制調査(犯則調査)

強制調査は、国税局査察部が行う調査です。裁判所の令状をもって強制的に行われ、事前連絡はなく拒否できません

国税局査察部は、映画にもなった「マルサ」として知られる組織であり、強制調査は、裁判所の令状をもとに強制的な調査が行われます。 強制調査が実施される際には、納税者に対し、事前の通知が行われるわけではありません。

外注費と給与の区分が適切かどうか

よくある指摘

建設業では、職人や作業員を外注扱いとして処理することがありますが、実態が雇用関係に近い場合には、税務署から「実態は給与ではないか?」と指摘される可能性があります。

「外注(事業所得)」として処理したほうが、税金面では有利になる場合が多いために税務署は「本当は雇用なのに意図的に偽って外注にしていないか?」という点をチェックされることになります。

この調査において、給与と認定されると、社会保険の納付や源泉徴収などの義務が発生してしまいます。

リスク

税務調査で給与と認定された場合、追徴課税になる場合があります。

源泉徴収義務違反(源泉徴収漏れ)として、また加算税・延滞税の対象になります。

架空または不適切な経費計上

よくある指摘

実態のない請負契約

形式的には外注費に見えていても、実態が伴っていない、または不自然に高額な場合は注意が必要です。調べられる可能性があります。

架空の材料費・外注費

架空外注費とは、実際には存在しない外注業務について、あたかも取引があったかのように装って計上される外注費のことです。

プライベート支出の経費化(家族旅行、個人車のガソリン代など)

本来は経費として認められない個人的な支出、たとえば、社長や役員の自宅の清掃費用などを「業務委託費」や「外注費」として処理するケースも、架空外注費の一種となります。

税務署は「反面調査(取引先への照会)」を通じて、実態があるかどうかを確認することがあります。

反面調査とは、税務調査の対象者本人ではなく、取引先をはじめとする関係先に対して実施される税務調査のことです。

現金売上・手間賃の申告漏れ

よくある指摘

建設現場では「日雇い手間」などの現金取引が頻繁に行われます。こうした収入を帳簿に記載せず申告しないと、「売上の除外」「所得隠し」と判断されることがあります。

現金売上があり、かつ、それなりの金額が見込まれる場合は現金売上先に反面調査される可能性があります。理由は単純で、売上漏れの可能性があるためです。

建設業など、現金取引が多く、申告漏れが発生しやすい業種を重点的に調査する場合があります。

領収書・帳簿の保存状況

よくある指摘

  • 建設業の領収書や帳簿のよくある指摘としては次のものがあります。
    • 白紙領収書の利用
    • 領収書の改ざん
    • 会計帳簿の未整備・取引の記録不足

帳簿や証拠資料の保存が不十分だと、税務署にとって「推計課税」の対象となる可能性が高まります。

所得税及び法人税における推計課税とは、税務署長が更正または決定をするにあたって、直接資料によらず、各種の間接的な資料に基づいて推計によって所得金額を認定する方法のことです。

保存の件ですが、法人の場合、総勘定元帳、売上帳、仕訳帳、現金出納帳などの帳簿は、会社法では10年間、税法上では7年間保存しなくてはなりません。

貸借対照表や損益計算書などの決算書類、領収書や借用書などの証憑書類も、税法上では保存期間が7年となっています。

下請業者への支払調書の提出漏れ

よくある指摘

税務署は、支払調書(報酬、料金、契約金などの支払調書)の内容を基に、取引の有無や金額の整合性をチェックしています。支払調書の未提出や誤記があると、調査対象になることがあります。

支払調書とは、企業が個人事業主や法人などへ支払った報酬や源泉徴収の合計額を記載した書面のことです。 企業から個人事業主への発行義務はありませんが、支払調書の多くは税務署に対しては1年に1回、1月31日までに提出しなければなりません。

まとめ

税務署は「形式」ではなく「実態」を見ています。建設業に対する税務調査では、形式的な帳簿よりも取引の実態を重視した調査が行われます。

  • 建設業の税務調査のポイントは次のとおりです。
    • 外注か雇用か
    • 経費は本当に業務上の支出か
    • 現場での現金の流れは透明か

これらの観点から、「実態と申告内容の一致」が問われます。

対策ポイント

・外注契約は書面で残す(業務内容・支払条件・指揮命令の有無など)
・領収書は発行元を明確にし、内容も具体的に記載
・現金取引でも帳簿・出納帳を正確に記録
・支払調書は忘れず期限内に提出

このような観点から税務リスクをあらかじめ洗い出して、帳簿や証憑の整備を行っておくことで、税務調査対策をすることができます。