防犯カメラ設置に建設業許可は必要?電気工事と電気通信工事について

コラム

自宅や店舗、事業所などへの防犯カメラ設置を検討される方が増えていますが、設置となると、「建設業許可は必要なのだろうか?」「電気工事と電気通信工事、どちらに該当するのだろうか?」といった疑問がでてくると思います。

このことを踏まえて、防犯カメラ設置の建設業許可の必要性について、電気工事と電気通信工事の違いも含めて、建設業許可について詳しく解説します。

建設業許可とは

建設業許可は、一定規模以上の建設工事などを請け負う場合に必要となる国、または都道府県知事からの許可のことです。

これは建設業法に基づいており、建設業を営む事業者が一定の要件(経営業務の管理責任者(経管)、営業所技術者、財産的基礎など)を満たすことで取得できます。

建設業許可が必要となるのは、1件の請負金額が税込で500万円以上、建築一式工事の場合では1,500万円以上、または延べ面積150平方メートル以上の木造住宅の工事を受注して施工する場合に該当します。このような金額などが下回る工事を請け負う場合には、建設業許可がなくても問題ありません。

建設業許可には、建設業の29種類の業種区分があって、それぞれの業種ごとに専門技術や施工管理能力が求められています。許可なしに一定規模以上の工事を請け負うと、建設業法違反となり、罰則の対象となることがあります。建設業許可は、電気工事・電気通信工事ごとに必要になります。

防犯カメラ設置に建設業許可は必要?

防犯カメラの設置工事についても、請負金額が税込みで500万円以上となる場合には、建設業許可が必要になります。防犯カメラ設置工事の内容や規模によっては、建設業許可が必要となる場合がありますので注意が必要です。

防犯カメラ設置が「どの建設工事の業種に該当するか」、そして「請負金額がいくらになるか」ということが重要になります。

防犯カメラの設置工事は、建設業法に定められる「電気工事」または「電気通信工事」に該当する場合、該当する工種の許可を取得していなければなりません。

たとえば、複数棟の施設に防犯カメラシステムを一括で導入する大規模プロジェクトの場合、大手企業や公共施設への監視設備一式の大規模施工を請け負う場合や防犯カメラ設置に付随して建物内部の電気配線工事等が伴う工事で、請負額が税込みで500万円以上となる場合などのケースでは建設業許可が必要になる可能性があります。

しかし、個人宅や小規模店舗に数台の防犯カメラを設置する程度の工事で、請負金額が税込みで500万円未満であれば、建設業許可は必要ありません

防犯カメラ設置は電気工事それとも電気通信工事?

防犯カメラの設置工事が電気工事になるのか?「電気通信工事」になるのか?の判断は、設置する機器の仕様や配線方法によって変わってきます。

電気工事

屋内・屋外で電源配線工事が必要となる場合、または建物の電気設備と一体となって防犯カメラを設置する場合などが該当します。電圧が600V以下であっても建物内に電気設備を設ける工事は、通常、電気工事に該当します。

電気通信工事

LANケーブルや光ファイバーなどを使ったネットワーク接続を行って、防犯カメラ映像を記録や遠隔監視するような設備の設置工事の場合などが該当します。

インターネットを介した監視、録画や通知といった機能がある場合には、電気通信工事と判断されることが多くなります。

実際には、防犯カメラ工事は、電気工事と電気通信工事の両方に該当する場合があって、請け負う内容によって工種を判断することになります。

最近の防犯カメラ設置では、カメラから録画装置へのLANケーブル敷設、ネットワーク設定、遠隔監視のための設定など、映像情報の伝送や通信に関わる部分が電気通信工事に該当する場合が多いと考えられます。

電気工事とは

建設業法における「電気工事」とは、発電設備、変電設備、送配電設備、電灯・動力設備などの電気設備を設置する工事のことです。

ビルや工場などの屋内電気配線工事、高圧受電設備の設置、空調設備の電源工事、電灯・コンセントの新設・移設・増設工事ような工事が含まれています。

防犯カメラ設置では、専用の電源配線工事や電気設備の一部として設置を行う場合は「電気工事」に分類されています。

なお、一定の電気工事には電気工事士法に基づき、電気工事士の資格を有する技術者が施工を行う必要があります。

電気通信工事とは

「電気通信工事」とは、建設業法における29業種の一つで、通信設備やデータ伝送設備の設置・接続・調整等を行う工事です。

ネットワークカメラやWi-Fi機器の設置工事、LANケーブルや光回線の配線工事、通信機器(ルーター、ハブ、NASなど)の設置・設定などの工事が含まれています。

遠隔監視装置・映像伝送設備の構築工事

防犯カメラはインターネットを介した映像監視・録画が主流となっています。このようなシステムを構築する工事は「電気通信工事」に該当する場合が多くなります。

防犯カメラの設置業者が500万円以上の工事を請け負う場合には、電気通信工事業の建設業許可を取得しておくことが必要になることがあります。

まとめ

このように請負金額が500万円を超える場合や、電源配線と情報通信配線の両方が含まれる場合は、電気工事と電気通信工事の両方の側面を持つため、それぞれの許可の有無を確認する必要があります。