電気工事業の建設業許可や登録、資格に関する講習について

コラム

電気工事業をする場合には、必要となる法的な手続きや資格としては「建設業許可」や「電気工事業登録」など、いくつかの制度があり、手続きがあります。それぞれの制度の違いや取得の要件、講習の概要などを詳しく解説します。

建設業許可とは

建設業許可とは、一定規模以上の建設工事を請け負う事業者に義務付けられている許可制度です。建設業法に基づいて工事の種類に応じて「土木一式」「建築一式」「電気工事」など29業種に区分されており、それぞれで許可を取得する必要があります。

1件500万円以上(建築一式工事は1500万円以上)の工事を請け負う場合に必要になります。

「一般建設業」と「特定建設業」の2つの区分があり、下請業者への再委託の有無などで異なります。許可権者は、国土交通大臣許可、または都道府県知事許可となります。

(建設業法第3条)

ア  建設業を営もうとする者は、軽微な建設工事のみを請け負う場合を除き、建設業法第3条の規定に基づき、建設業の許可を受けなければなりません。

イ  「軽微な建設工事」とは、工事1件の請負代金の額が建築一式工事以外の建設工事の場合にあっては、500万円未満、建築一式工事にあっては、1500万円未満又は延べ面積が150平方メートル未満の木造住宅の工事をいいます。

電気工事業登録とは

電気工事業登録は、電気工事業法に基づく制度ですが、電気設備の安全確保を目的とした業者登録制度となっています。原則として、一般用電気工作物や自家用電気工作物の工事を請け負う業者は登録が必要になります。

登録先は都道府県であり、登録には電気工事士や電気工事施工管理技士などの専任技術者の配置が必要です。

(電気工事業の業務の適正化に関する法律)

(目的)第1条 この法律は、電気工事業を営む者の登録等及びその業務の規制を行うことにより、その業務の適正な実施を確保し、もつて一般用電気工作物等及び自家用電気工作物の保安の確保に資することを目的とする。

登録の種類

電気工事業登録は次の2種類があります。

一般用電気工事業登録

一般住宅や小規模な店舗などの一般用電気工作物に関する電気工事を行う場合に必要となる登録です。

自家用電気工事業登録

工場やビルなどの自家用電気工作物(最大電力500kW未満)に関する電気工事を行う場合に必要となる登録です。

登録の要件

電気工事業登録を行うためには次の要件を満たす必要があります。

電気工事士等の設置

第一種電気工事士または第二種電気工事士の資格を持つ者を、営業所ごとに設置する必要があります。

欠格要件

過去に一定の法令違反がないことなどが必要です。

みなし電気工事業者とは

「みなし電気工事業者」とは、一定の要件を満たすことで登録なしでも電気工事業を行える業者のことです。例えば、建設業許可(電気工事業)を取得していて、かつ電気工事士法等に基づく有資格者を専任で置いている業者などです。

電気工事業登録業者が建設業許可を取得する場合

電気工事業登録業者が建設業許可を取得するには、次の追加要件などを満たす必要があります。

経営業務の管理責任者がいること
専任技術者(営業所技術者)(1級電気工事施工管理技士など)の配置
財産的基礎(自己資本500万円以上等)

専任技術者の名称は、昨年の法改正で営業技術者と変更になりました。

経営業務の管理責任者(経管)とは、会社の経営体制を整えて、営業取引上の責任を負う役割を担う人のことです。建設業の許可を取得するには、主たる営業所に経営業務の管理責任者を常駐させることが必要になります。

建設業の専任技術者(営業所技術者)とは、建設業許可を受けた営業所で、請負契約の締結や工事の履行を技術面で管理する技術者のことです。営業所に常勤して、見積の作成や契約の締結、注文者とのやりとりなどを行います。

登録や資格に関する講習について

電気工事業を営むうえで必要な資格取得や法令遵守のための講習もあります。

主な講習

電気工事士法に基づく定期講習(第二種電気工事士免状取得後、一定期間ごと)
電気工事施工管理技士の講習・試験
法定研修や更新講習(技術の進歩や法令改正に対応するため)

また、登録電気工事業者は従業員に対する安全教育の実施も義務として課されることがあります。これらを怠ると罰則や登録取消の対象になることもありますので注意が必要です。

まとめ

電気工事業を営むには、建設業許可と電気工事業登録という2つの異なる制度を理解し、それぞれの取得要件や対象工事を正しく把握することが重要です。