建設業の税務調査、経費で認められない項目とは?

コラム

建設業では、さまざまな経費が発生します。材料費や外注費、車両費や交際費、仮設費などいろいろありますが、「経費で落ちるだろう」と思って計上した費用が、税務調査などで認められないケースがありますので注意が必要です。

実態のない外注費・下請費

よくあるケース

実際には作業していないにもかかわらず請求書だけある場合

存在しない会社に対して外注費を支払ったと記録して帳簿上で処理している場合です。支払いは行われているように見えても、その資金は関係者に還流している場合が多いとされています。

工事写真や日報など実績の裏付けがない

外注費を支払ったと記録されていて、帳簿上処理されていても具体的な記録類がない場合です。実態をともなっているのか?と疑われるケースです。

否認のリスク

税務調査で架空経費とされれば、経費全額が否認されることもあります。
また、重加算税や延滞税の対象になる可能性もあります。

重加算税とは 税務調査を受けた際に、意図的に申告内容を仮装したり、事実を隠ぺいをしたと客観的に判断され、脱税の事実があった場合に課されるペナルティのことです。

延滞税については、法定納期限の翌日から2か月を経過する日までは原則として7.3%、納期限の翌日から2か月を経過した日以後は14.6%とされています。

プライベートとの混在がある車両費・燃料費

よくあるケース

  • プライベートと混在していると指摘されるケースとしては次のものがあります。
    • 家族の通勤や私用に使っている車のガソリン代を全額経費にしている
    • 家族名義の車を業務用として全額計上している
    • 現場用と称しているが、稼働実績が不明な場合

本来は経費として認められない個人的な支出、たとえば自宅の清掃費用などを「業務委託費」や「外注費」として処理するケースも、架空外注費となります。

否認のリスク

会社分とプライベート分の按分が不明確な場合は、全額が否認される可能性があります。特に、建設業でよく使われているワンボックスカーなどの車両は要注意とされています。

飲食・接待交際費の証明不十分

よくあるケース

  • 飲食・接待交際費で指摘されやすい事項は次のとおりです。
    • 相手先や目的の記録がない飲食代
    • 家族や友人との私的な飲食を「打ち合わせ」として処理
    • 領収書はあるが、誰と何のための会食か不明な会食など
    • ゴルフや旅行など、業務に直接関係しない個人的な交際

交際費として認められるかどうかは、その費用の目的や内容によって判断されます。業務に直接関係していない費用や個人的な費用は、交際費として認められない可能性が高いので注意が必要です。

税務調査での否認のリスク

記録が不十分だと「私的支出」とみなされます。交際費は制限があるため、損金不算入額も発生しやすいとされています。損金不算入とは、会計計算上は「費用とされる」が税務計算上は「損金とされない」もの とされてしまいます。損金不算入とは、税法上の損金として認められないという意味です。

自宅兼事務所の家賃・光熱費・通信費の全額計上

よくあるケース

  • 自宅兼事務所で指摘されることは次のとおりです。
    • 自宅の家賃や水道光熱費などを全額、事務所経費として処理している場合
    • 携帯電話やインターネット代を家族全員で使用しているが全額計上している場合

税務調査での否認のリスク

按分計算がされていない場合や不十分な場合には、全部否認されることもあります。
その場合には、税務調査では「客観的な基準(面積・使用時間など)」を要求されることになります。

作業着・工具・備品の私用・高額化

よくあるケース

  • 作業着・工具・備品でよく指摘されることは次のとおりです。
    • ブランド品のジャンパー(作業着との名目)などを「作業着」「現場用備品」として経費処理
    • 高級工具・電子機器を購入後、業務で使用していない場合
    • 消耗品のような頻度で短期間で「新しい道具」を買い替えている場合

税務調査での否認のリスク

高額な物品は「資産」として減価償却処理が必要になる場合もあります。私的利用が強いと判断されれば、全額否認の可能性もあります。

税務署がチェックしているのは「証拠と合理性」

  • 税務署は、領収書があるかどうかだけでなく次の事柄をチェックします。
    • 誰が使ったものなのか?
    • いつ・どこで・何の目的なのか?
    • 実際に使用された証拠(写真・日報・発注書など)

これらを税務調査ではチェックしています。つまり、経費の「名目」ではなく「実態」を重視して判断しています。

経費を否認されないための対策

外注費

契約書・請求書・作業報告書(写真などを添付しているとよい)を残すようにします。

車両費

走行記録などで業務用と私用を明確に分ける。運行利用台帳などをつくっておくとよいでしょう。

飲食費

飲食した場合は、相手先、目的、日付などを領収書にメモするようにしておきます。仕事の予定表に書いておくのもよいでしょう。

自宅兼用

面積・時間で按分比率を計算し記録しておきます。

備品購入

高額なら資産計上、写真・使用記録などを残すようにします。